修羅場らんば
浮気がバレた。旦那が私のLINEを勝手に見やがったのだ。
「これ、どういうこと?」
「え?なに?」呑気に旦那のところへ駆け寄る私。
そうして携帯を差し出された。
そこには友達とLINEした浮気相手の感想が書かれていた。
ヤバイという気持ちよりも怒りの方が強かった。
「なに?これ。どういうこと?」もう一度聞かれた。
私は逃げ隠れなどしない。堂々と「浮気してきたんだよ」と答えた。
「あ?」
「だから、う・わ・き」
「やったのか?」
「やってない」(嘘じゃない)
「これで?この状況で?信じられるかよ」
「相手のが勃たなかったんだよ」
「おまえじゃな。萎えるよな」
「ふん。そうかもね」
私は浮気したことに罪悪感など微塵もない。だって、いつも、「デブス、ただマン、ヤリマン、ボランティアだから一回3千円な。舐めたきゃ舐めてもいいぞ」と言われて、セックスの最中には、「4Pはどうだったんだ?どんな風にやったんだ?やってみろ」などといや〜な言葉責めをされながらするんだ。そんな蔑まれる言葉を毎日聞かされて生活している。それなのに、私の内側に罪悪感など微塵も芽生えようはずもないではないか。
私は、とりあえず、自分のしたことは棚上げにしといて旦那に迫った。
「なんで人のLINE勝手に見るの!?ルール違反じゃないよ。あんたも見せなさいよ!!」
旦那は私の暗証番号を聞いてきたり、今日みたいに人のLINEを勝手にみたりするくせに、自分のは絶対に教えない卑怯者だ。
「最近、髪の毛ワックスつけたり、足の除毛したり、歯石とりに歯医者に通おうかな、とか色づいてるけど、あんたも浮気してるんじゃないの?やましいことがないんだったら見せなさいよ!!ほら、見せなさいよ!!」
2時間くらい大声で言い続けた。
そうしてやっとLINEを開かせた。女の名前がいくつかあった。そのうちの一人とは頻繁にLINEのやりとりをしている。
私がさて、読もうとした矢先、「いつまで見てんだよ!!」と、携帯は私の手から取り上げられた。浮気しててもどうでもいいけど、ふざけんなや!!人のLINE見といて、しかも読んどいて自分は読ませないなんて!!
「5千円な」
(はぁ!?)
「不貞の罰金」
「なんでそんなもん払わなきゃならないのさ。人のLINE勝手に見といてふざけんなや!!」
なんでもかんでもお金、お金、お金。お前は守銭奴か!?ふざけんじゃねーよ。
「払え」
「はぁ!?払いません。絶対に」
私はさっさと2階に上がって行った。そして、このふざけんなや!!の気持ちを共有してもらうために、友達とSkypeでグループ通話を始めた。
10分ほど過ぎた頃、突然回線がブチン!!と切れた。
何事か?と思い、下に降りていき、旦那に
「あんた、ネットなんとかした?」と聞いたら
「切断した」との答え。
(ふざけんなや!!)
私は頭にカァ〜っと血が上った。
「直して。いますぐ直して」
「やだ」
「直して!!って言ってるでしょ!!早く直して!!」
「や〜だね」
「いいよ!!じゃあ、ポケファイでやるから!!」
私はポケットWi-Fiを握りしめて上に上がってまたパソコンをいじり始めた。
すると旦那がダダダッと追いかけてきて、
「全部配線切ってやる!!」
そういい、パソコンのプロバイダーだかサーバーだかを全部削除しやがった。
「おお。そうしろ。自分で払え」
私はフレッツ光に電話した。聞くと値段が月々約5千円だと言う。
「じゃあ、今日中に工事してもらえますか?」
「いやぁ〜。ちょっと今日は無理ですねぇ。担当者から折り返し電話させますので、ご連絡先を教えてください」
(・д・)チッ 今日から使えなきゃ意味ナッシング。他を当たろう。
私は、歩いてすぐのソフトバンクにでかけていった。
「今日はどうされましたか?あんずさん」
しょっちゅうソフトバンクに顔を出してるのですっかり覚えられてしまった。いいんだか悪いんだか…。苦笑
「えーと、旦那と喧嘩して回線全部切られて困ってるんですよ。私、ネットなしには生きていけないから。なんか、置くだけWi-Fiってありましたよね?あれどうなんですか?速度、料金、あと、無制限ですか?案内してください」
「畏まりました」
特に問題はないようだった。料金は月々4千円ちょっと。私でも払える。よし、決めた。あとは、肝心要の
「今日から早速使えます?」
「はい。使えますよ」
パンッ/ヨッシャアアアアアアアアアアアアwwwwwwwwwwwwww(高い声で)キタァwwwwwwwwwwウワァヤッタ
「わかりました。契約します」
家に帰ると旦那が待ち構えていた。
「どこ行ってたんだよ?」
「ソフトバンク」
「なにしに!?」
「Wi-Fi買いに」
「っだと!?っざけんなよ!!」
突如旦那のドロップキックをおみまいされた。それから、殴る蹴るの暴行。
「なんでっ そんなっ 勝手なことすんだよ!!」
横腹を蹴り上げてグーの手で私にパンチをくらわす。
「顔はよして!!ボディーにして!!」
三原じゅん子かよ!?な言葉を吐いて、私は暴力に耐え続けた。
「返して来いよ!!」
「やだ!!もともとあんたがLINE勝手に読んだのが悪いんじゃん!!自分のはみせないくせしてさ!!ネットも直してって言ったのに直してくれなくて自分でやれっていったのそっちじゃん!!私がどんなにネットが大事かわかってるでしょ!?死ぬよ、私。ネット切られたら。もう自分のWi-Fi買ってきたからね!!もうネット切ったりできないから!!」
「返して来いよ!!」
「やだったらやだ!!」
旦那は私を蹴るのをやめると2階に登って行った。追いかける私。
「壊してやるよ!!」そう言うとパソコンを手に取り投げようとした。私は旦那にしがみついた。返せ、返さないの取っ組み合いの喧嘩になった。
「やめてよ!!やめて!!やめてったら!!」
「うるせー!!」
そして、パソコンを高く持ち上げると私の頭に向かって思い切り振り落とした。
私の頭には大きなたんこぶができ、パソコンは見るも無惨な姿に変わり果てていた。
(もう使えない・・・)
「死ぬ!!」そう言い残し、私は下へ降りていき、家中の薬をかき集めて飲み始めた。
すると、追ってきた旦那にまた羽交い締めにされた。口の中に手を突っ込まれ、薬を無理やり吐き出された。
「死ぬんだから邪魔しないでよ!!」
「っざけんなよ!!二言目には死ぬ死ぬって迷惑なんだよ!!死ぬならここじゃないところと離婚してからにしてくれよ!!」
「わかった。じゃあ、近所のマンションから飛び降りて死ぬんで邪魔しないでどいて」
「っざけんなよ!!」
旦那は私をまた羽交い締めにすると、今度は首をグイグイと締め付けてきた。
(ちょっと苦しいけど大丈夫)
「殺せば?」
「ああ。殺してやるよ」
強い力でさらに力を込め、私の首をグイグイと締め付けてくる。私はなされるがままに身を任せた。
と、ふいに旦那の手が緩み、私を離した。
「お前なんか、殺す価値もねーんだよ!!」
「じゃ、行ってきます。さようなら」
「どこ行くんだよ?」
「飛び降りに」
また体を掴まれて、顔を思い切り殴られた。
はぁ〜
大きくため息をついて旦那は言う。
「はぁ〜。勘弁してくれよ。なんでいつもそうなんだよ?はぁ〜。お前といると本当に疲れる」
「それはこっちの台詞です。いつも暴力ふるいやがって・・・・。最低!!」
「頼むから病院入ってくれよ。で、一生でてくんな」
「なんで入院?理由がわかりません。そもそも、あんたが勝手に人のLINE見て、パソコンもこんなにしちゃって、あんたが悪いんでしょ?私からネット取り上げたらどうなるか火を見るよりも明らかじゃないのさ。ともかく、私は死にます。もうパソコンこんなになっちゃって、ネットできない。死ぬ」
私は旦那を押しのけると、下に降りて行った。この間ユニクロで買ったスカーフで首を吊って死ぬつもりだった。
旦那は追いかけてくると「どうしたら気が済むんだよ?このくそキチガイ」と言った。
「気ぃ?済むわけないでしょ。もうパソコンあんなになっちゃってどうしようもない。私の生きがい返してよ。もし、自分がオンラインゲーム取り上げられたらあんた、私をぼこるでしょ?私の気持ち考えてみなさいよ。キチガイ?そうよ。だって私精神病だもん。気が狂ってます。パッパラパーです。キチガイです」
「・・・・・新しいの買ってやるよ。それでいいんだろ?」
「だめです。あんなボコボコに壊れてたらデータもぶっ飛んでるはずです」
「データは復元できるよ」
「嘘」
「嘘じゃねーよ。さ、機嫌直せよ」
「本当に本当に元どおりにできるのね?できなかったら私死ぬよ」
「大丈夫だって。さ、PCデポ行こうぜ。急がないともう閉まっちまう」
私は渋々車に乗りこんだ。
PCデポで、使っていたパソコンと同じのを見つけた。私は
「ブートキャンプでウィンドウズにも対応できるようにして!!」と言った。旦那は折れた。
ブートキャンプを入れるには私の持ってたパソコンは容量が足りなかった。
そこで、棚の下に「在庫一点限り」と書いておいてあったダンボールに入ってるパソコンが容量が大きかったので、それにすることにした。
家に帰ると私は早速旦那に復旧作業に取り掛からせた。パソコンは元通りの仕様になり、ブートキャンプも入り、私の機嫌は少しだけ直った。
ネットは私の生きがい。私からネットを取り上げるなんて殺されても許さない。
Wi-Fiは自分で設定した。
これで私のネット環境は元通りになった。無駄金使ってバカみたい。いつも金金うるせーくせして。20万のお支払い也。ざまあみさらせ、モラハラ夫。
私はモラハラなんかに屈しないんだよ。
松たか子「反省してください」